穿いたり脱いだりする時に開け閉めするデニムの前たて部分は一般的に比翼仕立てになっています。

比翼仕立てとは、例えばボタンやファスナーがむき出しにならないよう、かぶせが付いた仕立て(作り)のことになります。

見た目もそうですが、ボタンやファスナーでキズが付かないようカバーする大切な役目もあのです。

さて、その比翼の下に隠された開け閉めの手法ですが、現在ではファスナーが使われることが一般的となっています。調べたことはありませんが、世界中で販売されているデニムの90%はファスナーではないかと思います。
引き手をつまんで上げ下げすることで開閉できるファスナーは本当に便利で、今さらながら素晴らしい発明だと勝手に感動してしまっています。

じゃあなんで尾道デニムはボタンなんだ!?と突っ込まれそうですね(笑)

以前にBLOGで書かせていただいたことがあったと思いますが、デニムの生地は綾織りという織り方で織られていて、洗濯によって捩れがでます。昔はこの生地の捩れを防止する加工技術がなかったため、ファスナーではまっすぐ上げ下げできなくなるという不具合が出てしまうことがありました。また、ファスナーの性能・強度も現在ほど良くなくて、壊れる心配の少ないボタンが使われていたのです。

そしてその実用面から使われたボタンが、デニムに意外な魅力を与えることになったのです。それがコレ!

穿き込んで擦れることによって、比翼の下に隠されたボタン部分がアタリとなってデニムに豊な表情を与えるのです。ファスナーでは出来ないこのアタリ、カッコいいと思いませんか?^^

尾道デニムプロジェクトでは多少の使い勝手は犠牲にしても、このボタンフライにこだわってリアルユーズドデニム創作を行っていきたいと考えています。使い込むことで表情豊かに色落ちするデニムの魅力のひとつではないかと思うのです。

少しマニアックで申し訳ありませんが、共感いただけると嬉しく思います。どうぞよろしくお願いいたします。