ドイツからの手紙 VOL.14 〜北欧のポストから 4通目〜

By 2015年10月4日REPORT, 堀江伸吾

ハイランドへ

「歩いてモスキートワールドを超えてきたの?ようこそハイランドへ!」にこやかにヒュッテの管理人が話しかけてきた。このトレイル上には約10~20キロおきにヒュッテが建てられていて、テントの無い旅人はこの小屋に泊まる事が出来る。どうやら3日目のヒュッテまでの宿泊費とフライト料金が同じなので、蚊を嫌う旅人はヘリで湿地帯を超えてくるようだ。着陸したヘリを指差しながら管理人が教えてくれた。たしかにヘリでくれば良かったかも。と思える程に顔や両肩はボコボコになっていた。晴れていても暑くてもレインジャケットを脱ぐと瞬く間に蚊に襲われる。さすがはモスキートワールド。

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ハイランドに入ると蚊の姿は急に減り、景色ががらっと変わった。標高が上がった事で苔や低木が広がり、木立はほとんど見えなくなる。氷河の残した池がいたるところにあり、周囲を見回すと残雪、遠くの山々のあいだには氷河が望める。風を遮る場所を見つけテントを張って氷河を見つめていると、巨大な自然の中で自分やテントの小ささをヒシヒシと感じた。

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テント旅の自由

テントを持って歩くという事は、重さとザック内のスペースと引き換えに自由を持って歩く事だと思っている。ヒュッテを使ってこのトレイルを旅する人達は、途中で雨が降ったらレインウエアを着込んで歩き、美しい風景でも足を止めるだけになる。

その点、テントを張る場所を定められていないこのトレイル内では、雨が近づいてくればテントを張って逃げ込む事もできるし、美しい風景があればその場で一晩を過ごす事だって出来る。トナカイの糞は至る所におちているけれど、それを気にしなければフカフカの苔のマットの上で寝転ぶ事も出来る。時々、強風に煽られたり、動物の気配にビクついて眠れない事もあるけれど、そのぶん自然に触れ、自由を味わう事ができる。日本でも山にはテントを担いで行くけれど、その何倍も自由だ。

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SHINGO HORIE

SHINGO HORIE

三重県奥伊勢出身。10代でスキューバーダイビングにハマり、ダイビングインストラクターになるため、尾道で海技学院に入学。卒業後、ダイビングインストラクターとして就職。山口県、鹿児島トカラ列島、沖縄本島を転々と仕事をする。その後、ダイビングの能力を活かしつつ人助けるため、海上保安庁に入庁。入庁後、潜水士、特殊救難隊として救助活動に専従しつつ、休暇では海外一人旅を続ける。3.11発生後、組織ではなく自分自身の力で人の役に立ちたいと考えていたところ、ドイツ旅で出会った知人がドイツ移住を勧める。悩んだ末、2014年1月渡独。現在、ドイツ語を勉強しつつ、自分探し中。
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