今日は、オノミチデニムショップの店長キョーちゃんに付いて、タカシと一緒に初デニム回収に行ってきた。

尾道を出発して、瀬戸田、向島、浦崎、松永、東尾道を回って尾道商店街に戻るコースだ。
しまなみ海道の橋を渡り、フェリーに乗り、海沿いの道を走る、瀬戸内海満喫ツアーのような1日。

デニムショップでは毎週金曜日が「デニム回収日」で、プロジェクト参加者さんが1週間はいたデニムを回収すると同時に、交換で洗いたてのデニムを渡す。そうやって、一年ほどはいてもらったデニムが「リアルユーズドデニム」となって販売される。

行く先は、カフェ、柑橘農家、漁協、ラムネ製造所、自動車修理工場、蒲鉾屋などなど…

そこで出会う人々こそが、人気のユーズドデニムの立役者ということになるのだが、はじめましての私は会話に乗れたり乗れなかったり…だけどキョーちゃんは、それはそれはみんなに可愛がられてて、先々で「あれ売れたよー」とか「この色落ちいいね」などデニム談義に花が咲き、はたまたおばあちゃんのお家でジュースを呼ばれながら昔の武勇伝を聞いたり、おじちゃんから野菜をもらったり、農家さんから夏みかんをもらったり…そうしてその場は笑いが絶えない。

このプロジェクトは、デニムというツールを通して行われている一つのコミュニティ形成でもあるということが、よくわかる。これがあるからこのプロジェクトは、特別で価値があるのだ。

かくして、オノミチデニムのユーズドは作られていく。
尾道で働いた人たちの働いた時間を写しとって。
毎週交わされる会話や笑いの中で少しずつ表情を変えながら。

一本のジーンズにこれだけ物語があることを店の人間が知っているから、買うひとに伝えることができるのだ、と、改めて思う。

さて、それに加えて今日は、お店のスタッフ、ミクちゃんの最後の出勤日でもあった。もうすぐ北アルプスに旅立つ彼女に励ましの言葉をかけようと、参加者さんや商店街の人たちがたくさん来てくれてて、寂しさもありつつもミクちゃんが愛されてたことと、尾道の人情味溢れまくってることが、なんだか嬉しい最後だった。

ミクちゃん、がんばれー!また尾道来てね。

—-

今回は同じ会社のメンバーに、初めてデニム回収について来てもらった日のことを書いていただきました。
これを書いてくださった黒木さんは尾道デニムのオリジナルデニムの制作に深く関わって下さっていて、PJ001が仕事中の相棒として色んな方に愛用していただいているのも黒木さんのパワーのお陰でもあります。何年も近くで見守ってくださっていた黒木さんが、初めて「穿く人」と触れ合い、こうした感想を持ってくださったのはすごく嬉しかったです。
スタッフの私たちも、参加してくださっている尾道の町の方々も、デニムを穿くことが日常になっているので、この文章を読んでハッとしました。この仕組みが当たり前になっていることってすごくないか!?と。

私たち尾道デニムのスタッフと参加者さんの関係は、仕事相手でもあり、たまーに喋る相手でもあり、よく打ち解けた友人でもあり、時には親戚のような関係でもあり。長く続く場合もあれば、長く続かないこともある。私たちの至らない点もあり、たくさんご迷惑をお掛けしながら、お互いの好意と信頼関係、なにより「協力したい」という想いがあり、やっと成り立つこのプロジェクトは、誰でもマネできるプロジェクトではないものに成長したと思います。
デニムを穿いてくださっている方の中には「なんでこれに参加してるんだっけ」と自問自答をする時期もきっとあるのではないかと思います。その答えが、自分のため、町のため、プロジェクトのため、応援してくださっているお客様のため、私たちスタッフのため(調子に乗りましたすみません)、デニムの色落ちが十人十色なようにみんなの想いも十人十色だと思います。
「デニムを穿いてないと○○さんじゃないみたい」なんてこともよく耳にしていて、デニムを穿くことが若さや元気の秘訣だとおっしゃって下さる方もいます。なんと嬉しいことでしょうか。。

このようなことを言うのは照れ臭いのですが、尾道デニムプロジェクトが形を変えながらも、根っこの想いは変わらず10年も続けられてきたのは奇跡です!これからも変化や成長を繰り返しながら、時代と共に私たちの生活に溶け込んでいくのだと思います。

ここまで読んでくださった皆さま、どうかこれからも尾道デニムプロジェクトを暖かく見守り続けていただけると嬉しいです。