ドイツからの手紙 D. C. VOL.4

By 2018年3月1日堀江伸吾

昨年植えた梅の木の蕾が大きくなり始めました。雪も降る量を控え、17時には真っ暗だった夕方も少しずつ日没が延び、徐々に春の足音が近づいています。長い間、便りを出せず申し訳ありませんでした。そちらはいかがお過ごしでしょうか?僕は年末から最近まで忙しい日々を過ごしていました。いろいろなことを報告したいのですが、とても長くなってしまうので、最近の出来事を書きたいと思います。

こちらの大学でシュタイナー教育を学んでいると以前書きましたが、授業の一環で1月と2月は教育実習に行っていました。3年生になると必ずどこかの学校に出向かないといけないのです。どの学校に行けばいいのか迷っていたのですが、知人が働いている養護学校にて実習をさせて頂くことができました。
学校では併設している幼稚園から12年生(高校の3年生のことです)まで授業をする機会を得られました。担当してくださった先生は今年退職されるベテランで、厳しそうな雰囲気の中に子供達を見守る眼差しが優しく、芯を感じさせる方でした。学校には発達障害やダウン症、自閉症そして戦争のトラウマを持つ子が通っています。様々な事情を抱えた子供たちはそれでも明るく素直で(素直すぎて授業をボイコットしたり逃げ出したりしている子もいましたが)温かく僕を受け入れてくれました。時折、大変な子供を目の当たりにしてどうすればいいのか分からない時もありましたが、それは僕に分からないだけで、子供達は気持ちを言葉にできないから態度や動きで表すんだよ。とベテラン先生から教わりました。よく子供達を見守っていると、なんとなくですが気持ちが伝わってくる様な気がしました。

実習中に誕生日があったのですが、朝の集会で全校生徒がお祝いの歌を歌ってくれたり、様々なクラスの子供達がハグに来てくれたりしました。さらに嬉しいことに7年生のクラスで誕生会を催してくれました。生徒が焼いたケーキを一緒に食べて、いろいろな話を交わして、素敵な誕生日を迎えることができました。こんなに真直ぐに祝ってもらったことは記憶にないくらいです。
先生から学ぶことはもちろんたくさんあったのですが、子供達からもたくさんの事を教えてもらい、良い教育実習を経験できました。実習中に子供達に文字通り触られ掴まれた尾道デニム、その糸の中にも春の様な温かく素敵な時間が染み込んでいてほしいと思います。


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SHINGO HORIE

三重県奥伊勢出身。10代でスキューバーダイビングにハマり、ダイビングインストラクターになるため、尾道で海技学院に入学。卒業後、ダイビングインストラクターとして就職。山口県、鹿児島トカラ列島、沖縄本島を転々と仕事をする。その後、ダイビングの能力を活かしつつ人助けるため、海上保安庁に入庁。入庁後、潜水士、特殊救難隊として救助活動に専従しつつ、休暇では海外一人旅を続ける。3.11発生後、組織ではなく自分自身の力で人の役に立ちたいと考えていたところ、ドイツ旅で出会った知人がドイツ移住を勧める。悩んだ末、2014年1月渡独。現在、ドイツ語を勉強しつつ、自分探し中。

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