ドイツからの手紙 VOL.17 〜北欧のポストから 7通目〜

By 2015年11月6日堀江伸吾


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天気とテントとデニム

道の途中でヒュッテに寄って天気予報を聞いても、ラジオもネットもない場所なので誰も答えをもっていなかった。だから天気は雲の流れを見て予想して、歩きにくい天候の時はテントの中で本を読んだり、持ち込んだヘンプを編んだりしていた。夜になると「きっと、半径50キロ内にはデニムを持ってる人もいないだろう、ましてデニムが寝間着な人もいないだろう」と想像しながら、デニムを履いたまま寝袋にくるまっていた。ハイランドの夜は寒かった。

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白夜の国

そんな夜はオーロラを見るチャンスがあるという話だったので、震えながらテントから度々頭を出したけれど、23時頃に沈んだ太陽は3時頃には昇りはじめていたので、夜でもぼんやりと明るく、残念ながらオーロラを見る事は出来なかった。そのかわりに夕日なのか朝日なのか分からない美しい日の光を見る事ができた。

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懐かしの味

サーメ人が経営するヒュッテには時々「ブレッド、魚、ハンドクラフトあります」と書かれた張り紙がしてある。他にも品物もあるのだけれど、スウェーデン語で書かれていて読み取れない。ある村の道端で、おばあちゃんが「焼きたてのブレットいらない?」と尋ねてきたので買ってみたら、ナンの様なブレットで、いわゆる丸いパンを想像していたから驚いた。このブレットは昔、実家のおばあちゃんが小麦粉で焼いてくれたホットケーキにそっくりで懐かしい味がした。まさか北極圏で日本のおばあちゃんを思い起こすとは思わなかった。シンプルな生活はどこかで繋がっているのかもしれない。

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散歩道

歩いていると一日に多くて5、6人くらいとすれ違う。皆の挨拶は「ハイ、ハイ」と「Hi」を二回繰り返すもので、どうやらサーミ人のあいさつの様だ。気軽に使えるうえに、サーメ人のおばあちゃんが挨拶に使うとなんだかかわいらしかった。日本の山でも流行って欲しい挨拶だ。

このトレイルは、お年寄りも沢山歩いていたし、世界的に有名なトレイルにも関わらずスウェーデン人が圧倒的に多かった。一休みしている時に、若いスウェーデン人の男性が声をかけてきたのでしばらく話していると「今回は自分の祖父母と、彼女の祖父母と一緒に来たんだ。おじいちゃんたちは途中からヘリで帰るけど、僕と彼女は最後まで歩くよ」と、昔ながらのフレームザックを担ぎ、おじいちゃん達を指差しながら笑って話してくれた。

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スウェーデンの人たちにとって、このトレイルは気負いのない長い長い、散歩道なのかもしれない。


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SHINGO HORIE

SHINGO HORIE

三重県奥伊勢出身。10代でスキューバーダイビングにハマり、ダイビングインストラクターになるため、尾道で海技学院に入学。卒業後、ダイビングインストラクターとして就職。山口県、鹿児島トカラ列島、沖縄本島を転々と仕事をする。その後、ダイビングの能力を活かしつつ人助けるため、海上保安庁に入庁。入庁後、潜水士、特殊救難隊として救助活動に専従しつつ、休暇では海外一人旅を続ける。3.11発生後、組織ではなく自分自身の力で人の役に立ちたいと考えていたところ、ドイツ旅で出会った知人がドイツ移住を勧める。悩んだ末、2014年1月渡独。現在、ドイツ語を勉強しつつ、自分探し中。
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