魔鏡をつくれる最後の鏡師と尾道デニム。

By 2016年8月2日REPORT

プロジェクト第1弾の期間(2013年1月〜2014年1月)は尾道でエネルギー関係の仕事に携わられていた方の元から、魔鏡の伝統的な製造方法を唯一継承している魔鏡師にバトンタッチした1本に刻まれた物語。詳しくはこちら→「伝統と革新」旅するデニム、京都へ

鏡師 / 山本 晃久
プロフィール:1975年京都生まれ。山本合金製作所 5代目。国内で数少ない手仕事による和鏡・神鏡・魔鏡を製作する山本合金製作所に生まれ、大学を卒業後、家業に入る。祖父、山本凰龍に師事して伝統技法を受け継ぎ、全国の社寺の御霊代鏡や御神鏡の製作や博物館所蔵の鏡復元に携わっている。2014年、安倍首相からローマ法王に献上された切支丹魔鏡の制作に関わる。工芸の新しいあり方を模索し、アートプロジェクトなどにも積極的に参加している。

_D2A5279

※山本合金製作所
初代/山本石松、慶応2年(1866)神鏡作りを開業。2代目/山本真一、伊勢神宮式年祭の御神宝鏡をはじめ、宮内省掌典職、内務省神社局、神祇院等の御下命により、日本全国ほとんどの神社の御霊代、御神宝鏡を製作。3代目/山本真治、文化庁より無形文化財として表彰/勳五等瑞宝章を賜る。4代目/山本富士夫、隠れキリシタン魔鏡をローマ法王へ献上。神社やお寺に納める青銅鏡(金属の鏡)を作っており、鋳造(ちゅうぞう)から鏡の裏の模様の制作、仕上げなど、すべての工程を手作りしている。

1年間の着用シーンや着用頻度は??
「洗う以外は、毎日穿いていました。だいたい、1ヶ月穿いて、洗うの繰り返し。実は昨年春に1本新品でも購入をしたので、プライベートではそっちを穿いていたりもします。ちなみに、学生時代からデニムは(リーバイスやドゥニームなど)良く穿いてました。」

_D2A5418

洗いのタイミング
※鋳造が終わった時に洗っていました。泥が飛ぶので。
(※鋳造とは…砂で鋳型を作り、裏面に模様を施す鏡の場合は、「ヘラ」という道具で型に模様を押していく。それができたら型を焼いて乾燥させ、合金を溶かして、鋳型に流し込む。)

特徴
太もも&ヒゲ。
太ももから膝にかけて上に物を置いたりするので、擦れて落ちている。また座る作業が多いので、ヒゲが全体的に濃く出ている。また、鋳造の作業では火が飛ぶので、燃えた箇所もある。

_D2A5270

_D2A5353

仕事でよくやる動作は?
「削り作業でしょうか。体制は、座りが多いです。」

_D2A5368

改めてデニムの良さとは?
「デニムは、もともと作業着ということもあって、やっぱり丈夫ですね。今回穿いていた尾道デニムは、ある程度ゆったりしているので、座り作業も苦ではなかったです。それから、デニムの良さは、破けたりほつれたりしてもリペアした部分を含めて“味”に見えるのが良いですよね。他素材で同じように破けたりほつれたりしていたら、苦労しているように見えたりしちゃいますもん。(笑) それから面白かったのが、普通のズボンだと銅の成分で青(緑青)っぽく変化するところが、デニムだと変化が見られなかったです。紺色のTシャツの場合だと、紫色に変色するんですよ。」

_D2A5290

キリスト教の信仰のあかし、魔鏡とは?
つるんとした鏡面に光を当て、壁に反射させると、思いもかけない絵が浮かび上がる、それが魔鏡現象。日本では江戸中期頃から、キリシタン弾圧の最中に信仰のあかしとして、キリスト教徒の間などでひそかに保有されていたものだそうです。

photo by.ONOMICHI DENIM PROJECT

photo by.ONOMICHI DENIM PROJECT

鏡の後ろの面にキリストや十字架像などキリスト教の絵柄を彫る。鏡面の凹凸は、その絵柄に影を映す。その後、鶴亀や松竹梅などの文様をキリスト教の絵柄の上に置いて、キリスト教の象徴を隠す。そうすると、まったく普通の鏡と変わらなくなる。

_D2A5404

_D2A5328

_D2A5406

一般的にはあまり聞きなれない言葉の魔鏡。寺院が主な依頼主で、由来のある模様を写したいということでオーダを受けたりするそう。神社のご神体としての神鏡だったり、お寺も宗派によっては信仰の対象として鏡が使われるので、新調してほしいという依頼が多いそうです。最近では、広島の某神社の鏡も補修をしたとのこと。神鏡に対する見方が変わりますね。

_D2A5410

_D2A5398

知られざる職人世界
「40歳でも、まだまだ若手なんです。45歳ぐらいから中堅になれるぐらいかな。職人の世界は、生涯現役の方が多いので、キャリアが長くても、あんまり関係ないですね。」と言うから驚き。かといって、伝統を守ることだけを自分の仕事と捉えていない姿勢が素敵です。伝統的な技術を守りつつ、守るためだからこそジワジワと革新を図っている山本さんのような職人さんと、それをサポートする人たち。今後も、その活躍から目が離せませんね。

_D2A5390

次の穿き手へのメッセージをどうぞ!
「前の穿き手さんと鏡師によってエイジングされたONOMICHI DENIMを、次の穿き手さんが更に育てて下さるのを楽しみにしております。」

photo by.onomichi denim project

photo by.ONOMICHI DENIM PROJECT


鏡を磨き、腕を磨き、自分の魂をも磨きあげている。そんな山本さんの信念と未来が詰まった尾道デニム。作業工程も出来上がってくるものも違う。けれど、デニムを通して共有する“ものづくりの面白さ”に関しては、共通した感覚があるような気がしました。山本さんの1年間が刻まれた尾道デニムは、ONOMICHI DENIM SHOPで販売することが決定!是非手にとってご覧ください。

〈MODEL : Akihisa Yamamoto / LINK:https://wesym.com/ja/projects/makyo_savethecraft/
〈PHOTO :  Mitsuyuki Nakajima / 公式HP:http://nakajimamitsuyuki.jp


The following two tabs change content below.
KASUMI OGAWA

KASUMI OGAWA

関東から移住してすぐに尾道のまちと人と関わり、立ち上げた愛すべきプロジェクト。“尾道から世界へ”という夢を実現するためには、格好いいデニムが出来上がることに加えて、そこに注がれる熱が必要不可欠だと感じます。ONOMICHI DENIMを想像がつかない世界へ連れていきます!
Translate »